震える指先―――ピサロ(ソロ編)



少しだけ遠慮がちに触れてくる指先。

それに気づいたのは、いつだったか…

何かを確かめるように。けれど‥悟られぬように。

そんな風に、ひっそりと滑ってゆく細い指。

心地よさと同時に、広がってゆく混沌。

その奇妙な感覚の名を、ずっと知らずにいた。


だが‥‥


闇から救い出された今、あの頃のソロのように、私の惑いが指先に現れる。

拒絶を恐れ、震える指先。

そう、怖いのだ。

この手を払われる事が。

その心が私へ向かわぬ事が―――


失う哀しみを知った今、何より欲する魂の側に在りたいと

‥ただそれだけを願うから。


孤独の中に居た事気づかせたソロ。

あの深き闇より戻ったのは、お前がそこに在ったからだ――


だから…


もう失えぬと、その想いが指先に現れる。


私はソレを知って、強くなったのか、弱くなったのか‥


ただ‥


常に纏わりついていた、〔退屈〕は消え去っていた―――




2007/4/18

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