泣くように笑った―――クリフト



ツライ恋を抱えているのだと。

彼はずっと思い悩んでいた。

許されぬ想いだと…そう憂いた横顔にも、もう幾度出会ったことか…


許されぬ恋――それは、自身の想いとも重なって、当初映っていた。

だからかも知れない…と。

彼の世話をやいてしまう自分を納得させてきた。

けれど――

違うのかも知れない。

いや――

違ってきてしまったのだ。

見慣れてしまった泣き顔。その弱々しいばかりの姿とは別の。

どこか儚いその表情に出逢ってから…


彼は――泣くように笑っていた。

恋の終わりを告げながら…

無理矢理の笑みがあまりに不器用で。

懸命に堪える瞳が大きく揺らいでいたなんて…

本人は全く気づいてないのだろう。

泣くように笑った顔は、とっくに彼に囚われてしまってた己を自覚させた。

――守りたい。

そして…倖せにしたいのだ。自らの手で…


幸福の求め方を放棄したように見える彼が、ずっと気になっていた。

彼の想い人がソロの倖せにならないのなら…

私が彼に涙を忘れさせる。

不安な夜を過ごさずいられるように。

孤独に苛まれるコトのないように。

ただ――憂いのない笑顔のために。

私がキミの側にいよう。


だからソロ、どうか思い出してくれないか?

陽射しの中で明るく笑んでいただろう、孤独を知らない微笑みを…

どうかこの腕の中でみせてくれ――

そう願うのは、この想いがとっくに恋へ昇華していた証だと。

今ようやく私は知ったのだった――





2005/6/26



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