W誕生日w DQ4   〜勇者が語るピサロ談義?〜

DS版DO4発売おめでと〜vv ‥という訳で。参りますv





「‥ふう〜ん。へえ‥‥‥」

「何を熱心に読んでるの?」

お馴染み(笑)何もない空間。

そこで胡座をかいて、何やら開いた本を読み耽っている鷹耶に、ソロが声をかけた。

「おう。また会ったな。元気だったか?」

「まあね。そっちも変わってないみたいだね。」

にっかり笑う鷹耶の隣に腰掛けて、ソロも微笑んだ。

「‥でさ。何読んでたの?」

「ああ‥これか? なんかな、オレ達とは全然違う、精霊ルビスの治める世界とやらにも

 勇者‥ってのが在るらしくてさ。その勇者の活躍が語り部に伝えられてるそうなんだが。

…これは、そんな活躍がバッドエンドだったら‥って戯れ言綴った本なんだ。」

「バッドエンド‥って。勇者一行が負けたら‥ってコト?」

「そうそう。そんな感じだ。」

「勇者が負けたら‥かあ。」

「私は絶対負けないわよ!」

ぽつんとこぼしたソロの言葉に、後方から返事があった。

鷹耶とソロが振り返って、声の主に目を注ぐ。

そこには、クルンとカールした巻き毛の少女が両手を腰に当て、立っていた。

緑のチューブトップに左肩・左脚に鮮やかなオレンジの布を当てた動きやすそうな格好を

した少女。髪の色は、彼らとよく似た翠をしている…

「‥えっとさ。もしかして‥あんたも勇者‥なんだ?」

自分達と年頃も変わらなさそうな少女を見て、鷹耶が確認するよう訊いた。

「‥ええ。そういうコトになるわ。‥あんまり嬉しくないけど。

 シエルよ、よろしくね。あなた達も勇者‥なんですってね?

 今日はね、お子様勇者じゃ可哀想‥って、私が呼ばれたんだけど。何の話してたの?」

「ああ、そうそう。もしも勇者が負けたら‥とかって本があるんだって。

 ねえねえ、どんな話なの?」

ソロが思い出したように鷹耶に訊ねる。シエルも興味深げに、彼の持つ本に目を注いだ。

「あ〜うん‥ま、いいか。」

ふと思案げにシエルを眺めた鷹耶だったが、不可思議な共鳴を覚える連帯感に従って、本

をゆっくり開いた。



「「‥えっち本?」」

「そう。‥まあ。娯楽本みたいだから。有りなんじゃねえ?」

頬を染める両者に微苦笑して、鷹耶がソロに本を渡した。

「‥そりゃ、まあ。…ふう〜ん。ラスボスに負けて、そいつにヤられちゃうんだ。」

パラパラとページを捲りながら、頬を赤らめたソロが嘆息する。

「‥らしいな。俺らの世界だったら‥ラスボスって、ピサロか?

 うわあ…絶対厭だねえ‥」

言って想像したらしく、心底厭そうに、鷹耶が身震いさせた。

「そうかなあ‥? オレは別に‥ってか、オレ実際旅立つ前にあいつにヤられてさ。

 もしかして‥この[もしも]の話より、酷くない?」

「ええっ!? …ピサロに? ‥だってあなた‥男の子…よねえ?」

「…男だよ。‥男同士でもデキるんだ‥って、オレもそん時知ったんだけどさ。」

「‥はあ。そーなんだ。世の中知らないコトだらけなのね‥」

憮然と返すソロに、ほう‥と吐息を落として、シエルが呟いた。

「でも…ピサロなら‥私も厭じゃ‥ないかなあ?」

ぽつっと本音を漏らして、シエルが頬を染め上げ、照れた様子で躰をくねった。

「‥なんだ。あんたも魔王さまに惚れたクチか?」

「え‥もっ‥て?」

不思議顔で返す彼女に、鷹耶が顎でソロを指す。

「そいつも‥そんな目に遭わされたってのに、惚れてんだとよ、ピサロにさ。」

「いいだろ‥別に。‥ピサロ。オレにはいろいろ優しかったんだ。」

「いいなあ‥。ソロは愛されてるのね‥」

「‥シエルの所のピサロは、シエルになにもして来ないの?」

うっとり話すシエルに、ソロが訊ねた。

「…そんなコトないけど。…あ。でもまだまだ全然よ? ‥キスしただけ‥だもん。」

「‥キスかあ。…あ。

 そういえば。鷹耶も確か‥ピサロにキスされたとかって言ってなかった?」

「ええ? あなたまで? うう〜ん。すごいわね‥」

「‥俺、そんな事話したか?」

消去したい過去をさらっと暴かれて、鷹耶が呻く。

「ええ‥と。誰に聞いたんだろ? そっちのピサロかなあ‥?」

「あの野郎っ‥!」

「まあまあ。いいじゃない。」

「なあに? ソロは鷹耶の所のピサロを知ってるの?」

「あ、うん‥。以前にね、オレと彼とで、それぞれの世界へ赴いたコトがあってね。

 その時に会ってるんだ。ピサロとクリフトに。」

「へえ〜! なんだか面白そうね!」

「うん‥まあ。…面白かったけど。でも‥元の世界に戻った時はホッとしたな。」

「‥確かにな。あのおっかないクリフトと鬼畜魔王さまに囲まれてたせいか。元の世界の

 クリフトに会えた時は、いつも以上に愛しく思えたぜ。」

「‥え。おっかないクリフトに、愛しいクリフト?」

「鷹耶とクリフトって恋人同士なんだって。‥でも。オレの所のクリフト、怖くないよ?

ピサロは…まあ、最初は確かに怖かったけど‥」

シエルに説明したソロが、後半ごにょごにょ‥と言い足した。

「まあ‥クリフトと!? はあ‥。2人とも‥恋人は男って、そちらの世界が私の所と違

 うのかしら? それとも…私が知らないだけ?」

「さあな。俺だってきっかけがなければ、そんなコト思わなかっただろうし。

 当事者になってるから、目につくのかも知れねーな。」

「…私の世界のピサロも、男の人と‥なんて。アリなのかしら…?」

ふと不安を覚えたシエルが、ぽつっと漏らした。

「どうなんだろう? オレ達みたいにさ、ピサロも揃ったらいいのにね。」

「げげっ。なんて気色悪いコト考えるだ、お前は。」

「ええ? そう‥かなあ? 面白そう‥じゃない?」

「‥うん。見てみたいような。でも…揃って現れては‥困るような‥。」

自分の所のピサロが3人に分裂し、増殖させた様子を想像して、シエルがぽぽっと頬を染

め上げた。

ソロはと言えば、自分の所のピサロと、鷹耶の所のピサロ、あと1人に迂闊にも魔界で出

逢った青年を思い出してしまって。苦々しく俯いた。

「ほら‥な。あんまり愉快じゃねーだろ?」

そんな胸中を知らず、真っ青になったソロを見て、鷹耶がそら見ろ‥とばかりに頷く。

「…そっちのピサロ達ってさ、兄弟とか居る?」

「…聞いたコトはないけど。」

「俺も‥知らねえなあ‥。」

「‥そっか。」

「何? お前ントコのピサロには居るのか?」

「あ‥うん。オレ‥‥逢ったんだ…。双子‥なんだって…よく似てた‥よ。」

「へえ‥。そいつ思い出して、暗くなってる‥ってコトは。そいつも難有りなんだ?」

スッとソロの顎を上げさせて、鷹耶が覗ってきた。

「…怖い‥ヒト‥だったよ。すごく‥‥‥」

「…お前が言うんだから。余程な奴なんだろーな。」

固い声で紡いだソロの頭をくしゃりと撫ぜて、鷹耶が笑んだ。

「‥ま。ピサロに揃って登場されちまうのは遠慮願いたいが。

 あんたん所のピサロには、逢ってみてーな。な、ソロ?」

「あ…うん、そうだね。興味あるなあ、オレも。」

話題が切り替わって、ソロもにこっと笑みを作った。

「あら‥私だって、あなた達のピサロに逢ってみたいわ。折角だもの。」

3者がう〜ん‥と唸った、その時だった。

前方に何やら靄が集まって行ったと思うと、その中心部に人影が…!

「‥おい。誰か召喚出来ちまったらしいぜ?」

「あ‥ホントだ。‥ピサロ‥なの?」

「シルエットはそれっぽいけど…。でも‥‥」

3人がじい〜っと現れた人影を見守る。

果たして。

現れたのは―――それぞれが知るピサロとは、少し違ったデスピサロだった。


「…ピサロだ。」

「ピサロだね‥」

「ピサロよね…」

鷹耶・ソロ・シエルが各々呟く。

「貴様ら…なんだ?」

珍しい緑髪ばかりが揃った不可思議な場所に降り立った彼が、不機嫌さを滲ませた。

「あの…さ。あんた‥ピサロだよね? デスピサロ。」

ごくんと唾を飲み込んで、ソロが徐に訊ねた。

「‥そうだ。貴様らは、何者だ? 何故私を知っている?」

軽く腕を組ませたピサロが、眉を寄せ聞き返す。

「‥う〜ん。そう返って来るってコトは。もしかして‥こいつ、まだ勇者に逢ってねえん

 じゃ‥?」

「勇者‥だと? 貴様ら‥勇者、なのか?!」

険しい眸で腰に携えた剣の束に手を伸ばす。

「まあまあ。勇者は勇者でも、多分、あんたとは接点ねー勇者だよ。」

「‥? 何を?」

「俺達はあんたが探してる勇者じゃねーって事さ。な?」

ソロとシエルを鷹耶が振り返ると、慎重に両者が頷いた。

「ここはね‥夢の中みたいなんだって。」

「夢…だと?」

「そう。オレ達3人とも違う世界に在るんだもん。それなのに会えてしまえる場所なんて

 …夢の世界だからだって、思わない?」

「‥よく解らぬが。‥まあ。確かにここは奇妙な場所だな。」

周囲を見渡して、剣を納めたピサロが一息ついた。

やれやれ‥と一同も緊張を緩める。

「‥ね、鷹耶の所のピサロって、こんな感じなの?」

シエルがこそっと問いかけた。

「んにゃ。俺ん所とも‥ソロん所とも‥違うな、全然。」

「そう‥なの。私の所の彼とも、なんだか違うわよ。こうなんていうか…」

「血色いいよね‥。」

「そうそう、それ。…え?」

ぽつっと呟くソロに同調したシエルが、ソロとピサロを見比べる。

「オレの知ってるピサロは、もっと色が白いってゆーか。青いってゆーか‥そんな感じだ

 もん。」

「‥だな。」

「ええ…私も‥」

違和感に満ち満ちた表情が、眼前の見知らぬ魔王に注がれる。

「…何だ?」

居心地悪さを覚えて、怪訝そうに眉を顰めたピサロが呻いた。

「あ‥そうだ。どうせだからさ、こいつにさっきの訊いてみたら?」

ふと思い出したように。ソロがシエルを振り返った。

「さっきの‥って。‥え? 私が‥? 聞けないわよぉ〜、いくらなんでも。」

「ん‥? ああ‥ピサロの嗜好だっけか。おし‥折角だしな。聞いてみるか。」

赤い顔で照れた様子を浮かべるシエルに代わって、鷹耶が興味津々身を乗り出す。

「なあなあ。あんたってさ、男も女もイケる口? それとも、女オンリー?」

「は‥?」

「俺ん所とこいつん所の魔王さまはさ、どうやらどっちもOKらしいんだ。

 あんたは? 魔族ってさ、そういうの拘らないモンなの?」
                                                戯言→たわごと
「…初対面の見知らぬ輩に、何故そのような戯言を応えねばならぬ?」

「ふうん。別に無理に答えろ‥とは言わないけどさ。あんたん所の世界の勇者の行く末が、

ちょっとばかり気になったもんでね。」

「勇者の行く末…? ‥確か、貴様らの世界にも[ピサロ]が居ると申したな。」

「そうそう。オレ達それぞれ別の世界で勇者って呼ばれてさ。

 しかも、登場人物まで、いろいろ一緒なんだ。

 オレの所のピサロがね、えっと‥パラ‥パラレル世界って言ってたよ!」

「…そういう事か。だが‥貴様らの世界の魔王は知らんが、私は勇者と馴れ合うつもりは

毛ほども持ち合わせて折らぬぞ?」

「‥そうだね。まだ逢ってないんだもんね。」

ソロがほんの一瞬眸を曇らせて、そう噛み締めた唇で微笑を作った。

「では‥な。私はもう行くぞ。生憎呑気な談笑に興じてる暇などなくてな。」

クルリと踵を返したピサロは、そう言うと足早に歩き始めた。

「…きっと。仲良くなれるよ‥」

遠ざかって行く背中に、そっとソロが声をかける。

「そうね‥。あの人は、どんな勇者と出逢うのかしらね‥」

「さあな。俺達のような冒険をする勇者になるのか、違うのか…いつか、逢えるかな?」

肩を竦めた鷹耶が、そんな事を話すと、白い靄に霞んでいった人影が、ふつりと消えた。

「逢ってみたいね、その勇者にも。」

ソロがふわりと微笑む。

「ええ、そうね。逢ってみたいわね。」

「そうだな‥。また、いつか‥な。」

「うん、いつか‥ね。」

「ええ、いつか‥‥」



瞳を閉ざした彼らの姿も白の闇に融けてゆく―――



どこかで生まれるかも知れない、新たな勇者の幸運を願いながら…





2007/11/22