DQ4 祝v 25周年!!



毎度お馴染み白の空間。

今日は何やら派手な電飾に彩られた一角が‥

円形の豪奢なカーペットを囲むように華やかに飾り付けられたその中央には、

丸いテーブルと4脚の椅子。

その椅子の背後に黒いシミのようなものが広がったと思うと、見えない扉でも

開いたかのように、人影が現れた。

それぞれが1歩踏み出すと同時に黒いシミは消え、人影だけが残される。

四方から現れた人影の中央に配されたテーブルが、スポットライトに包まれると、

何もなかったはずのそこに、作りたてのようなご馳走が並べられていた。

「‥今日はいつになく派手だな‥」

ぼそ‥と呟いたその声の主は、やれやれ‥といった風情で数歩先にある椅子へと

歩き始めた。

そんな様子を眺めてた3人も、目の前に用意された席へと向かった。

白の空間に現れたのは、それぞれ微妙に色合いの異なる緑の髪をした青年が3人。

女性が1人。

「わあ‥シエル、すごく大人っぽくなったね」

ドレスアップし結い上げた髪の彼女の隣に立った青年が、にっこりと声をかけた。

「うふふ‥ありがと。ソロだって、見違えたわ。びっくりしちゃった。」

「ああ‥俺もお前に一番驚いたな‥」

「まあ、確かに‥」

ソロの隣の席だった彼が、わざわざ背後までやって来てまじまじとその背中を

眺めると、丁度向かい席に居た青年がそれを追って良いものか迷いつつも続けた。

「これ‥本物なのか?」

真っ白な翼にそっと触れながら、訊ねる青年は鷹耶。ソロが以前会った時よりも

ずっと、男っぽさが増している彼にソロが苦々しく答える。

「本物だよ‥残念ながら‥」

本来の姿なら、まだ服の上からは全く分からない程の大きさでしかないのに。

25歳の姿に変化したら、服の中には隠しきれない立派な翼が背中全体を覆う

程まで成長していた。今日この場に集まるメンツももしかしたら‥という期待

はどうやら外れ。

「もしかして、空飛べたりするのかな?」

正面から様子を伺っていた青年が、興味深そうに訊ねて来た。

「さあ?

 25歳の姿に変化したら、こんなだっただけだもん。わかんないよ‥」

「ああそうだよね。オレも25歳の姿に変化して来たけど。まだ18歳だし‥」

この中で唯一旅立った時の年齢が違う彼は緋龍。彼の世界では、ロザリーは

蘇らなかったし、ピサロも仲間にならなかったという。

「あ、オレも本当は18歳だよ。シエルと鷹耶は?」

「俺も18歳だな。」

「私も‥」

一同に沈黙が降りた。

「‥ま。そもそもここが変しな世界だし。

 よく分からない理由で呼び出されたのも、初めてじゃないし? 

 深く考えたら負けな気がする。」

鷹耶はそう言うと、自分の席へと戻った。

「それもそうね。‥まあ、未来の自分への変化なんて、ちょっと考えなかった

 から面白かったし、あなた達にもまた会えたし。いいわ‥」

シエルが着席すると、ソロと緋龍も席に着いた。

「あれ‥このケーキ、何かメッセージ書かれているね。」

一旦腰掛けたソロだったが、テーブル中央にででーんと置かれたホールケーキに

目をやると、腰を浮かせて身を乗り出した。

「あ‥本当だ。ええ‥と、なになに‥‥

 “祝vDQW生誕25周年”‥ですって。」

「なんだ、でぃーきゅー4て?」

「ドラゴンクエスト‥かな?

 “ドラゴンクエストW集え勇者たちパーティ会場”って、あそこに横断幕が‥」

首を傾げる鷹耶に緋龍が答えた。

4角の1画に華やかな飾り付けされたツリー。その天辺程の高さの所に、

どこから吊しているかよく分からない横断幕が確かにあった。

「‥つまりアレか? 俺達みたいな旅をした“勇者”が生まれてから、

 25年経った‥と。そういう訳か?」

「ああ。ぱらぱら‥パラレルワールドだっけ?

 それが生まれた日のお祝い‥?」

ソロが必死に記憶を手繰りながら、この前覚えたばかりの言葉を口にする。

「微妙に祝っていいのか悩むわね。」

シエルが複雑そうに溜息こぼすと、緋龍も「うんうん」と頷いた。

「だよねー。ま‥もうそれは脇に置いて。折角だもん。ご馳走頂こうよ!」

ソロも苦い顔で同意した後、ケーキの隣に用意されていたナイフを手に取り笑んだ。

「そうね。折角の料理ですもの。頂きましょうか。」



それぞれ目当ての料理を小皿に移して、一同は用意されてたグラスにシャンパンを

注いだ。

「「かんぱ〜い!」」

ご馳走と久しぶりの不思議な逢瀬に‥とグラスを鳴らして、口をつける。

一気にグラスを空けた鷹耶はお代わりをたっぷり注ぎ、一口口に含んだだけの

ソロは、それよりケーキをとフォークを握りしめた。

シエルはそんな彼らをにこにこ眺め、緋龍は初めて目にする果物を少し試しては、

満足げに頷く。

それぞれのペースで食事を楽しみながら、各自の近況報告が始まった。

姿は25歳だが、中身は18歳‥そんな彼らの最近は――

「そうね。まだ邪神官の行方追っているわよ。」

「俺もだ。あんまり情報ねーから、チキン達の所でレベル上げに行ったりもしたな。」

シエルに鷹耶が続く。

「ああ‥オレは最近やっとあいつ倒して、勇者の使命ってやつ果たせた所〜」

「おお‥そりゃご苦労さんだったな。お疲れ〜」

鷹耶がソロのグラスにシャンペンを注ぎ足し労った。

「どうも‥」

「そっかあ‥ソロの所は邪神官倒せたのね。お疲れさま〜」

「邪神官て、結界護ってた奴だよね? そいつ倒して冒険終わり‥なの?」

どうも会話が掴めない緋龍が首を傾げさせた。

「そうそう。結界張ってた奴よ。

 そいつがね、進化の秘法使って、私達の世界滅ぼそうとしてるのよ」

「ピサロに使ったものより完成度上げたらしいからな。手強かったろう?」

鷹耶がソロに振る。

「‥まあね。かなり厳しい戦いだったよ。ピサロが仲間になってなかったら、

 ちょっと倒せなかったかも知れない。」

肩を竦めさせて、ソロが言葉を選びつつ返した。

「ああ。それもオレの世界とは違うんだよなあ‥

 オレは結局ピサロを倒す道しかなかったもの‥」

緋龍が顔を曇らせこぼす。

「ロザリーを蘇えらせなかったんだっけ?」

「うん。彼女もあいつも‥もういないよ‥」

「世界樹の花の奇跡が発生しない世界もあるのね‥

 あの結界破った後、それがなければ私たちも‥‥」

「‥ピサロと戦わないで済んで、本当に良かった。」

「ああ。お前の所はピサロと熱々みたいだものな!」

揶揄う口調で鷹耶がチャチャを入れると、ソロがかあーっと頬を染め上げた。

「も、もー。それだって、色々大変だったんだから!」

「熱々‥って所は否定しないんだ? そういえば、鷹耶も恋人が‥」

「ん? クリフトがどうかしたか?」

緋龍の方へ顔を向けた鷹耶が、にこにこ訊ねた。

「なんでそっち行くのかが、オレは本当に分からない‥」

「緋龍は誰と付き合っているの?」

頭抱える彼にシエルが興味津々問いかけた。

「‥シンシアとこの間結婚したばかり。」

「おお〜新婚さんか! それはめでたいな!」

「そっちの世界はシンシアが生きているのね。羨ましいわ‥」

「‥オレも今シンシアと居るよ。一応‥」

「「えっ!?」」

鷹耶とシエルが同時にソロをガン見する。

「‥そっかあ。じゃあもしかしたら、私もシンシアに会えるかも知れない‥

 のかなあ? だといいなあ‥」

「‥そうだな。また逢えたら‥いいな。

 まあ未来の話は分からないからさておき。なあ緋龍。

 お前旅をしている道中の恋愛事情どうだったんだ?」

「あ。それ私も知りたいわ〜」

「恋愛事情って‥。オレ、冒険中はまだガキだったし‥」

緋龍が少々挙動不審にそっぽ向いた。

「でも、何かあったのね」

ニマニマ〜とシエルが続きを促すよう笑んだ。そういう表情されると、化粧の

せいかマーニャとダブってしまう。

「‥まあ。マーニャとちょっと‥‥」

「ほお‥マーニャねえ。俺はあいつに手出そうとしたら、火炎食らったぜ。

 やるじゃないか、お前。」

「火炎‥。オレの所のマーニャも優しかったけどなあ‥」

「オレの所のマーニャもだよ。優しい良いお姉さん‥みたいな感じでさ。

 ただ冒険中は色々あったからさ。マーニャも淋しかったんだろうなと、今は

 少し分かるよ‥」

「私の所のマーニャもそう。優しい頼れるお姉さんみたいな感じ。

 アリーナは気の合う友達みたいだし‥」

「あ、オレもオレも! アリーナとは友達って言葉の方がしっくり来る感じ」

「俺はどちらかというと、妹的な? 恋敵でもあったし?」

「‥そう言えば。アリーナにも告白された事があったな。後、ミネアにも‥」

「お前冒険中ガキだったんだろ? それなのにモテモテ?

 ひょっとして遊び人か?」

「なんだよそれ。子供だった分、そういうのハードル低かったんだよ、きっと。

 鷹耶達と同じ年齢だったら、きっと全然違ってたと思うよ。」

「マーニャに手を出して火炎お見舞いされたり?」

シエルがクスクス例えると、緋龍も一緒に笑った。

「誘われたら断れないのは確か。多感な年頃なので。」

何かを思い出したように頬に朱を走らせて、明後日の方を見た緋龍がこぼした。

「意味深だなあ。具体的に何かあったんだ?」

鷹耶がピピンと確信覚えたとばかりに追及する。

「え、え‥? もしかして、マーニャに食べられちゃったとか‥?」

食べる方に集中していたソロが、のほほんとしながらも、しっかり確信突いて来た。

「流石旅立ち前にピサロに食べられちゃっただけはあるな。ぽやんとしている

 ようでも、ハードな経験者‥なだけはある」

ぽむぽむと鷹耶に頭を撫でられたソロがムウと顔を顰めさせた。

「オレの事はどーでもいいよ。

 鷹耶だって、油断するとそっちのピサロに食べられるかもよ?

 既に味見されてるみたいだし?」

唇を尖らせて、以前会った時より大人っぽくなったせいか美人度が増したソロが

意地悪く返すと、鷹耶が一瞬固まった。

「そっちのピサロも男OKだったわね、そう言えば‥」

目敏くそれを見逃さなかったシエルが突っ込んだ。

「オレさ、前々から疑問に思っていたんだけど。どうしてそっちに走ったの?

 まさかそっちの世界は男同士が流行りとか?」

話題が逸れてホッとした緋龍が疑問を口にすると、ソロと鷹耶が顔を見合わせた。

「多分そっちの世界とそういう部分は変わらないと思うよ。

 ただ‥オレは女の人苦手なだけで‥」

「俺はシンシア好きだったぜ。恋人だったしな。

 ただまあ‥そういう感情抜きでも、人肌が癒しになるもんだって。

 教えてくれた奴が居てな。ぶっちゃけ、クリフトに会うまでは、一晩限りの

 相手としけ込む事も珍しくなかったぜ。」

「へえ‥そうだったんですか。

 その辺のお話、まだ伺ってませんでしたね、鷹耶さん?」

鷹耶の背後から、少々尖った声が響いたと思うと、彼がビクンと身体を跳ねさせた。

「‥クリフト。どっから聞いてた?」

恐る恐るといった風情で肩越しに彼を窺って、鷹耶が訊ねる。

「ソロが女性は苦手だと話してた辺りからですかね?」

ソロの方へ目線をやってにっこり微笑む。クリフトの姿は、この前に会った時と

変わっていない。

「お久しぶりですね、ソロ。25歳のあなたはとても綺麗になるようですね。

 その翼も魅力的ですよ」

「そ‥っかな? 正直この顔も翼も、なんか違和感なんだけど‥。

 鷹耶みたいにもっと男っぽくなりたいのにさ‥」

「いえいえ。それは私もピサロさんもご遠慮頂きたいですね、ソロ。」

不服そうにこぼしたソロの背後に降りた気配に振り返ると、クリフトがそっと

彼の頭を抱いた。

「あ、クリフト。迎えに来てくれたんだ?」

「ええ。勇者達の集いに興味あったので。あなたが女性の勇者さんなんですね。

 ソロとはここで時々会っているとか‥」

「ええ。仲良くおしゃべりさせて貰ってます。噂のクリフトに会えて嬉しいわ。」

にっこり笑うシエルに会釈すると、クリフトが鷹耶の方へスッと視線を流した。

途端にブンブン勢いよく鷹耶が首を振る。青ざめていた顔色が更に冴えないものに

なっている。

「そちらがもう一人の勇者さんですか。お会い出来て嬉しく思います。」

「こんにちは。以前お会いしましたね。

 あの時は子供の姿だったから、分からないかな?」

「ああ‥もしかして、あの時少年の姿だった勇者さんですか?」

「そう。この姿はモシャスだけど、本当の姿も‥」

言いかけた緋龍の姿が、一瞬煙に包まれた。

同じタイミングで、各勇者もまた同じように煙に包まれる。

「あ‥どうやら魔法の効果が切れたみたいだ。」

自身の姿を確かめるよう手で触れながら、18歳の姿に戻った緋龍がにっこり笑んだ。

「ああ。あの時より随分時間が流れたのですね。

 今のソロと同じくらいの年齢でしょうか?」

「うん。今回集まったメンバーは皆同じ年齢だったよ。」

「おお。本当に成長してたんだな。大きくなったなあ‥」

元の年齢の姿へと戻った鷹耶が、緋龍の隣に立って、背比べするよう手を翳す。

鷹耶に怒っていたあちらのクリフトも、にこやかに談笑していたソロと一緒に

こちらへとやって来た。

「本当だ。前に会った時は13歳だったっけ?

 勇者の役目果たしてから随分経つんだね、緋龍は。」

「そうなるね。なんだかんだとあっと言う間に過ぎちゃったけど‥」

「時間が経つのって、本当にあっと言う間よね‥

 この不思議な会合もそろそろお開きみたいだし‥」

シエルがふと天井を仰ぎ見た。一同もそれに倣って頭上を見つめると、

真っ白だった天井がゆっくり闇を広げているのに気づいた。

「まだまだ話し足りないけど、きっとまた会えるわよね?」

「そうだね。また会えるといいね。」

「うん。」

「そうだな‥」

シエルの手にソロが重ねるよう手を乗せると、緋龍、鷹耶もそれに続いた。

迎えに来た2人のクリフトが、それを温かく見守る。

それぞれの勇者の肩にクリフトが手を置き瞳を交わすと、ドーム状に降りて

来た闇が全員を包んだ。



「「じゃあ、また!!」」



そんな言葉を残して、闇が晴れた後には白い空間が再び静寂に包まれたのだった―――



2015/2/19


 
 



 すっかり遅刻してしまいましたが‥25周年記念お祝い絵とリンクしたお話
やっとお披露目出来ました。
最初に記念絵を、25歳の勇者ちゃんで‥と思って描き始めて。
パーティ会場へ向かう感じの彼女見てたら、装いの理由なんかがフツフツと沸いて‥
出来上がったのが、今回の勇者達の集いですw

マイ勇者達の集いも回数重ねてて。
完成間近に過去の邂逅確認したら‥色々忘れちゃってた事判明w
少々会話直したりしてましたw

勇者達の会話は、彼らに任せた感じだったので。
自分でも何が飛び出すか判らずワクワクしてましたが‥
本当に内輪の話過ぎて、ガッカリした方ごめんなさい。

DQ4も25周年‥という事ですが。
未だに初プレイ時の気持ちを思い出せるし、今でも新しい楽しみが続々生まれるしv
自分の中では現在進行形で親しんでいる世界だったりしますv
この世にDQ4を送り出して下さった全ての方に感謝しますv
沢山の感動をありがとうv 特にリメイク6章! 本当にありがとう!!
DQ4の世界が明るくなったのは、この6章の存在があったからですv

おかげさまで、妄想が暴走する日々に日常が潤ってますw

更新ペース落ちてはいますが、愛は変わってないのでv
これからも勇者達の冒険は綴って行きますよ〜♪

月の虹